火山館の依頼 ディアロスとの再会



 ディアロスに火山館で会った。

円卓にいた、騎士風の優男だ。

貴族のような振る舞いで、おそらく実際に貴族なのだろう。

あまり強くはなさそうだったが、悪い奴でもなさそうな、そんな男だった。


彼は円卓で初めて出会った時、幼馴染の従者を探しているから、見つけたら教えてくれないか、と語っていた。

従者と言っても、実際は家族のような間柄なのだろう。

愚痴を言っている感じで、しかし親愛の情を感じさせるような、そんな物言いだった。


に出会った時、彼はリエーニエで、従者の死体の前で崩れ落ちていた。

火山館という集団に殺されたらしい。

彼は復讐を誓っていた。

私はかわいそうだな、という気持ちと、もし次彼が復讐をしているところに出くわしたら、手伝うぐらいはしてやろうか、という気持ちでいた。


そして紆余曲折あって私が火山館に所属した後、彼は火山館にいた。

最初は、潜入調査みたいな、仲間の振りをして後で後ろから刺すのだろうか、と思っていた。

直接は手伝えないが、何かあっても見逃してやろう、ぐらいの気持ちではいた。

だが彼から直接話を聞いた後、それは私のとんだ勘違いだったと悟った。

この男はこのように言っていた。


あ、ああ…、貴公だったか…

うむ、久しぶりだな

貴公も、招かれていたのだな

これからは同志というわけだ。改めて、よろしく頼むよ


…ああ、分かっている。ラニアのことだろう…

そうだな、私は…

復讐は止めにしたのだ

苦悩の末の決断だった…

タニス殿が仰るには…

私には、英雄の道を行く資質があるという

そして真の英雄とは、敢えてこそ、汚れた道を行くものだと

…瞳に光が射した思いだったよ

ああ、それこそが、私に足りぬ覚悟であったと

勿論、ラニアは気の毒だった

あれは、悲しく、残酷な出来事だった

けれど、その悲しさ、残酷さに惑わされては、私は英雄になれぬだろう

きっとラニアも分かってくれる。彼女と、私の、過酷な運命を

だからこそ、英雄の道たる歩むのだと


…ずっと侮られていた

私の生白い手は、戦士のものではない…、ホスローの恥部だとな

だから私は、楽しみなのだ

この手を汚し、英雄たる道を歩むのがな

…「ホスローは血潮で物語る」のだ


私は初めて聞いたとき、 まず私の耳を。

そしてそのあと彼の頭を正常かどうか疑った。


何を言っているんだこいつは?

こいつらがお前の大切な幼馴染を殺したんだぞ?

それをただの言葉で?

ただの言葉で、ほんの少しの唆しだけで、覆したのか?

仇の言葉を信じて?


何が英雄だ。

お前は英雄などではない。

ただの道化だ。

英雄と唆され、都合のいいように動くだけの、ただの道化だ。


こんな、こんな男が主人だったとは……

お前も浮かばれないものだな、ラニアよ。

主人のために、こんな海の果て、狭間の地にまで共に旅してきたというのにな……


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