考察:AC6前史年表

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ルビコンの真実を望む者よ、心せよ。

真実は、決して忘れることはできない。















1. 

半世紀以上前。

辺境の開発惑星、ISB2262 RUBICON3でコーラルと呼ばれる新物質が発見される。

食料にも、エネルギーにも、情報導体にもなるそれは、人類社会に飛躍的発展をもたらすと嘱望された。


2.

コーラルと呼ばれる新物質を研究するため、氷原の地下深く、コーラルの源流が存在する場所にある都市が建設される。

名前を、ルビコン技研都市。

中心人物となった人物は三名。

ナガイ教授と、その弟子、第一助手と第二助手。

また、第一助手には息子がいたという。


3.

技研都市での研究が進むにつれ、第一助手がコーラルに狂い始める。

コーラルを利用したC兵器、Cパルスで人間の知覚を増幅して人間を強化する強化人間技術……

ナガイ教授の筆記にはこう遺されている。

「可能性が人を狂わせる。コーラルはその最もたるものだ」


4.

半世紀前。

コーラルの潮位が異常な速度で上昇を始める。

コーラルは自己増殖する生体物質であり、その増殖速度は個体群密度の影響を受ける。

環境によって増殖速度はどんどん早まり、ある臨界点を超えると形態や振る舞いが著しい変化が生まれる相変異が起きる。

この相変異を予測したナガイ教授はある決断をした。

「47時間2分16秒。間に合う。アイビスを出せ!」


5.

その日、ルビコンを含めた周辺星系は、炎と嵐に包まれた。

コーラルは、一定以上の熱量を与えられることで連鎖的に爆発するという性質を持つ。

コーラルの増殖を抑えきれないと判断したナガイ博士は、技研が開発した兵器、アイビスシリーズによって惑星ルビコンを、そしてその周辺の星系ごとコーラルを焼き滅ぼした。

アイビスシリーズが呼び起こした災厄の火。

故にこの大災厄は、「アイビスの火」と呼ばれた。


6.

アイビスの火は、しかしルビコンのすべてを焼き滅ぼしたわけではなかった。

コーラルの大規模発火現象には一定の指向性が存在する。

それによって、ルビコンに住んでいた人たちの一部は生き残った。

彼ら生き残りは灰被り(シンダー)と呼ばれ、その子孫たちはやがてルビコニアンと呼ばれるようになった。


7.

また、それ以外にも生き残った人物がいた。

ルビコン技研都市の第二助手。玩具を作るのが得意だったという女性。

そして第一助手の息子。寡黙で気丈な、鉄のような少年。

そしてその友人たち。

彼らは、決して表に出ないある組織を作った。

観測者たちの結社、「オーバーシアー」

コーラルの増殖傾向を測り、「破綻」が訪れる前に…焼き払う

それを使命とした組織。

第二助手、シンダー・カーラはルビコンに残り地盤を固め……

そして、鉄のような少年、ウォルターは木星へと旅立った。

彼らが受け継いだそれぞれの使命を果たすために。


8.

燃えつくした惑星ルビコンとその宙域は、以後、厳重な警戒態勢に置かれる。

ルビコンを閉鎖した団体の名前は、惑星封鎖機構(PCA)

大気圏外に衛星砲を配置し、以後ルビコンに侵入してこようとする者たちを、すべて防いできた。


9.

時は流れ、現代、ルビコンにて焼却されたはずと思われていたコーラルが再び見つかる。

理由は定かではないが、ルビコン星系で活動するハクティビスト集団「ブランチ」の一人、レイヴンがコーラル反応の再検出を星外企業にリークし、以後レイヴンの活動記録は途絶える。

コーラル反応の再検出を聞き、多くの星外企業がルビコンに集まる。

その中でも特に大きな二大企業アーキバスとベイラムだった。

アーキバスとベイラムは封鎖機構をも搔い潜って惑星ルビコンに侵入、企業の利益を求め、入植や開発を進めていく。

それに対して、ルビコンに住む人々、ルビコニアンもまた対抗して武装勢力、ルビコン解放戦線を発足し、コーラルの占有や管理を目論む星外企業や惑星封鎖機構に対抗する。

また、それとは別にコーラルを麻薬として楽しむドーザーたちの一派の一つ、RaDに突如としてシンダー・カーラがジャンク技師とハッカー集団を引き連れてRaDに加わる。

わずか半年で実権を奪い頭目となると、以後組織を急激に成長させる。

こうして、現代で活動する五つの集団が惑星ルビコンに出そろった。


10.

そして最後にして、最大の役者が惑星ルビコンに到着する。

木星へと旅立った少年は、ハンドラー・ウォルターとして強化人間を率い、惑星封鎖機構を突破しようとする。

その道中で多くの強化人間達を失うが、無事、一人の強化人間をルビコンへ送り込む。

名を、C4-621。

あるいはレイヴン、もしくはG13。

多くの名を持つ彼、あるいは彼女こそが、この惑星ルビコンの未来を左右する人物であることを、この時はまだ、誰も知る由はなかった。

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