考察:永遠の都はいつ滅んだのか?

 






狭間の地の地下、遥か地の底には滅びた文明が横たわっている。
永遠の都ノクステラとノクローン。
椅子廟に座す巨人と、それを崇める泥人たちの遺骸、そしてそれらを守るノクスの剣士たち。
シーフラ河とエインセル河にて繫栄していたかの文明は、しかしある存在に滅ぼされた。
その存在とは遥か彼方、光の無い暗黒で生まれた星の異形アステール。永遠の都を滅ぼし、彼らから空を奪った、悪意ある流星である。

私は歴史年表を編纂するにあたって、この永遠の都がいつ滅ぼされたのかについてとても頭を悩ませた。

現存している資料を参照すると、いくつか矛盾が生じるように思えるのだ。
だが、最終的に黄金樹の成立以前、先史時代に繫栄し、そして滅びたと結論づけた。
その理由について話そうと思う。


順を追って話そう。
まず今も残るノクス僧の足甲には、以下のような記憶が残っている。
永遠の都の僧たちの足甲
太古、大いなる意思の怒りに触れ
地下深くに滅ぼされた、ノクスの民は
偽りの夜空を戴き、永遠に待っている
王を。星の世紀、夜の王を
永遠の都は太古、大いなる意志の怒りに触れ、地下深くに滅ぼされたとある。
私はこの大いなる意志の怒りに触れ、という記述を見て最初は黄金樹の成立以後に滅ぼされたのかと思っていた。
なぜなら大いなる意思が狭間の地で精力的に活動しているのは黄金樹成立以後だからだ。

しかし、地形を見ると永遠の都は黄金樹の成立以前に滅ぼされた可能性が高い。


永遠の都は悪意ある流星の落とした隕石によって、地下深くに埋められたのだが、それなら地下と地上の地形の比較によって、滅んだ時期を推定できるかもしれない。
以下の地図を見てほしい。


地図1


地図2

地図3

地図1は地上の、地図2は地下の同じ位置の地図を示しており、地下の祝福の位置に地図1にマーカーを配置している。
そして地図3は地上に地下の地図を重ね合わせて表示したものである。赤い丸はウル遺跡を指している。

これを見ればわかる通り、先史時代にすでに活動していたとみられるレアルカリアと地形的な重なりは存在していない。
しかし小黄金樹や結びの教会とは重なっているので、結びの教会ができた第二次リエーニエ戦役より前には地下に埋まったのであろうことがわかる。

また、エインセル河の地図には以下のような記述がある。
エインセル河の地図断片
狭間の地下には、二つの大河が流れている
シーフラとエインセル。そこは
黄金樹の以前に栄えた、文明の墓場でもある


黄金樹の以前に栄えた文明の墓場、とある。

黄金樹の以前に栄えたということは、黄金樹以後は栄えず滅びたということ。

このことから、永遠の都は黄金樹の成立以前、もしくは成立期に滅びたということがわかる。 


さらに、地図3を見るとウルの王朝遺跡の上に、ウルドの王朝遺跡が存在している。赤い丸が点けてある部分だ。
名前は似ているが、ウルとウルドで、これらは違う王朝だ。
ウルの王朝は周囲の地形から、永遠の都と一緒に地下に沈んだ可能性が高い。
つまり、ウルの王朝が永遠の都と一緒に地下に沈んだあとその上に地層が重なり、そのあとまたウルドの王朝を築き、さらにその王朝が滅んだことになる。
黄金樹の勢力がウルド王朝を滅ぼした記録がないことから、ウルド王朝が滅んだのはおそらくリエーニエ戦役以前だ。
なので、もし黄金樹成立期に滅びたなら、黄金樹の成立期からリエーニエ戦役までで、地層が重なり王朝が築かれ、さらにその王朝が滅びるほどの時間が経っていることになる。
いくら神話の時代とはいえ、さすがにこれは長すぎる。
なので、黄金樹の成立以前の先史時代に永遠の都は大いなる意思の怒りに触れ滅んだ、という説が妥当なように思える。


では今度は黄金樹の成立以前に大いなる意思はそんな力を揮えたのか? という疑問が生まれる。
だがそれは可能だ。
最古の祈祷、エルデの流星には以下のような記述がある。
エルデの流星
最古とされる黄金樹の祈祷
「伝説の祈祷」のひとつ
無数の黄金の流星を生じ、周囲を攻撃する
かつて、大いなる意志は
黄金の流星と共に、一匹の獣を狭間に送り
それが、エルデンリングになったという


そう、黄金樹の成立以前に大いなる意思は黄金の流星と共にエルデの獣を狭間に送ることができた。

ならば同様に、大いなる意志は黄金樹の成立以前に暗黒の落とし子を狭間に送ることだって可能だろう。

ならば、永遠の都が黄金樹の成立以前に滅んだことを否定する根拠はすべてなくなる。


また、黄金樹の下、深き根の底には名もなき永遠の都が存在する。


この永遠の都は黄金樹の真下に存在する。

このことから、この永遠の都が崩壊したのは黄金樹が狭間の地に根付く以前だった可能性が高い。

この永遠の都がノクステラとノクローンにどうかかわっているのかは情報が足りないが、同じ名前を持つ以上、地上に繁栄していた同じ文化圏の都市だったのではないかと思われる。

永遠の都を擁した文化圏がアステールによって同時期に滅ぼされたと考えると、名もなき永遠の都と同様に、ノクローンやノクステラも黄金樹が根付く前に滅ぼされた可能性が高いと思われる。



まとめよう。

  • 永遠の都は大いなる意志の怒りに触れ滅ぼされた。
  • その方法は暗黒の落とし子アステールを狭間の地に送り込むことで、そのアステールの落とす隕石によって地下深くに埋められることによってである。
  • 地図断片の記述や地形的に考えると、永遠の都が滅んだのは黄金樹の成立以後であるとは経過した年月的に考えづらい。
  • また黄金樹の成立以前でも、大いなる意思が暗黒の落とし子を狭間の地に送ることは可能である。
  • さらに、黄金樹の下には名もなき永遠の都の残骸が存在しており、この永遠の都は黄金樹が根付く前に滅んだはずだ。
  • ノクステラやノクローンがこの永遠の都と同時期に繁栄した同じ文化圏の都市だと考えると、ノクステラたちも黄金樹が根付く前に滅んだ可能性が高い。
  • 以上の理由から、永遠の都が滅んだ時期は、黄金樹の成立以前、先史時代であると考えられる。






コメント

  1. 素晴らしい考察に感謝します。

    滅びた地底の都に於いてはスペル”永遠の暗黒”のテキストに見る
    ”その滅びをもたらした、絶望であった”ことからも、大いなる意思に
    とっての禁足地が永遠の暗黒の先にあるのかもしれません。
    また、アズール・ルーサット両最高師範が源流の探索の果てに
    暗黒を恐れ、偉大なる星団の終焉に心を壊されたことから
    推理の飛躍となりますが、大いなる意思とは恵みを齎すものでなく、星を喰らう存在なのかもしれませんね。
    つまりはより高度に、芳醇に育った文明を餌食とする星喰らい、
    暗黒より現れたアステールと祖を同じく、ないし従える外なる神。
    エルデンリングによって文明の発達を促進し、二つ指がそれを監視する。隆盛の果てに大いなる意思は降臨し、至上の饗膳に舌鼓を打つ。
    私はラヴクラフト氏に影響を受けすぎているかもしれません。

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    返信
    1. 感想ありがとうございます。

      その滅びをもたらした、絶望であった、はそのまま永遠の都を滅ぼした暗黒の落とし子のことだと思っています。

      >また、アズール・ルーサット両最高師範が源流の探索の果てに
      暗黒を恐れ、偉大なる星団の終焉に心を壊されたことから
      推理の飛躍となりますが、大いなる意思とは恵みを齎すものでなく、星を喰らう存在なのかもしれませんね。
      つまりはより高度に、芳醇に育った文明を餌食とする星喰らい、
      暗黒より現れたアステールと祖を同じく、ないし従える外なる神。
      エルデンリングによって文明の発達を促進し、二つ指がそれを監視する。隆盛の果てに大いなる意思は降臨し、至上の饗膳に舌鼓を打つ。

      その可能性もあると思います。
      少なくとも、大いなる意思がただ恩恵を与えるだけの存在だとは自分も思えないです。

      削除
  2. 貴重品の指殺し刃のテキスト
    「永遠の都、ノクローンの秘宝 遺体から産まれたとされる刃
    永遠の都の大逆の証でありその滅びを象徴する、血濡れた呪物
    運命なき者には振るうことはできず大いなる意志と、その使いたちを傷つけることができるという」
    今のところ一般的にはこれの記述から黄金樹成立以後に指殺しの刃をノクス文明が作った事で永遠の都は地下に追放されたと解釈されているようですね。
    ただ自分も黄金樹の地下をわざわざ掘って都市を築いたというのは考えづらいのでこれは矛盾していると考えています。
    特にそれを裏付けると思うのがこの指殺しの刃の画像なのですが形状が背骨に生皮を張って柄は片方人間の手で剣身は穴が空いています。
    よく見るとこれは神の遺剣と全く同じで神の遺剣のテキストには「永遠に死ぬことのないはずの神の遺体から生まれる剣」と書いてあってエルデの獣を殺した際の追憶から作成できる点からしても、黄金樹成立以前の時代に存在した何かの神を殺して作られた武器であると思われます。
    指殺し刃という名称は二本指を殺すために作られた武器では無く、神殺しをして遺骸から武器を作った結果指を殺せる武器になった・・・という事ともとれます。
    そう考えるとテキストの「永遠の都の大逆の証」とは”指を殺すために武器を作った事”ではなく”神自体を殺した事”であれば永遠の都が黄金樹成立よりはるか前に地下に追放された事とも矛盾せず合致します。

    ここからは派生した余談になってしまうのですが多分この推測は黒き刃の暗殺者とマリカの設定とも関連します。
    ロジェールはイベント上で黒き刃の事を「永遠の都の末裔たる、暗殺者」と延べ、稀人のルーンでは「稀人は、かつて狭間の外からやってきた女王マリカの同族であるという」とし更に黒き刃のフードには「陰謀の夜の実行犯たる刺客たちはすべて女性であり、一説にはマリカに近しい稀人であったという」
    つまり黒き刃の暗殺者=永遠の都の末裔=稀人の末裔=マリカと同族の存在、となります。
    永遠の都とは稀人の文明でありマリカの出身地であると考えれ、またマリカの槌のテキストには「狭間の外、稀人の地で作られたという石槌」とあるので稀人の出身地自体は狭間の地ではなく、ローデイルと比べても高すぎる建築レベルからしても永遠の都自体が黄金樹の前に大いなる意思が狭間の地に外界から狭間の地に連れてきて作らせた文明である・・・というふうに考えられます。
    つまり先史時代の永遠の都は大いなる意思が稀人を狭間の地に招いて文明を作り上げる→しかし一族何かの目的のため神殺しを行い大いなる意思によって滅ぼされ地下へ追放→生き残りの中から次の神人を選んで新しい律を作って新しい文明を作る→マリカを神とするエルデンリングの黄金樹時代、という流れ考えると一見飛躍して見えますが色々と矛盾無く繋がります。
    永遠の都の稀人の末裔が神殺しに至った理由は妄想の域を出ませんがマリカがエルデンリングを砕いたのと同様に大いなる意思によって自分の家族と血族が弄ばれ接収される事に反逆しようとしたんじゃないかなと思います。
    あとこれは神狩りと宵眼の女王の設定とも多分矛盾無く繋がります(貴種の腹芸のテキストで殺した神から奪った力である事と黒炎の渦で宵眼の女王は指に選ばれた神人だという事からするに永遠の都の指に選ばれた神人=多分椅子廟の神様みたいな巨人の遺骸っぽい)
    メチャクチャ長くなって申し訳無いけど考察色々拝見させて自分も見えてくるものがあって面白いので次の手記も楽しみにしてます。

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    返信
    1. たしかに指殺しの刃は何かの遺体なんですよね。
      自分はあのでかい巨人の遺体から作ったのかな、と思っていたんですが、違う神がいた、という可能性は確かにありますね。
      自分は時系列としては永遠の都が王を創ろうとする → 大いなる意志の怒りに触れ滅ぼされる → 生き残りが指殺しの刃を作って虎視眈々と機会を待っている、だと思っています。
      だから指殺しの刃はまだ永遠の都にあるのではないかと。

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