王都の円卓と同じ建物にて
王都の中央にある建物に入ったとき、どこか既視感があった。
食堂があって、その奥に談話室があって、その向こうには階段があって……
何だったかと思ったら、ここは円卓と同じ見た目の建物なんだ。
二階に行ってもそうだった。
ローデリカや鍛冶の人がいる部屋、フィアがいた部屋、ギデオンがいた部屋、そして、円卓のある部屋。
ここは円卓だ。円卓の元になった館だ。
なら現実の円卓の館がこうして滅んでいるとしたら、あの世界の円卓はなんなんだろうか?
過去? 異世界?
わからないけれど、みんながいたところの多くは、かれらのルーンの名残である遺物がおいてあった。
ない人は、後から来たローデリカ、百智卿ギデオン、指呼びの老婆。
そう、二本指のいた場所にも、二本指はなくただルーンの名残があった。
そこにあったのは秘文字の剣。
遺物の記憶を読み解くと、かつて二本指が円卓の褪せ人に贈った秘剣。
はるか昔は円卓には英雄たちが集い、二本指は力強く、また雄弁であった、と残っている。
つまりあの二本指は本物ではあるんだ。
でも、もう自分では話すことすらできないほど弱っているか、もしくは、老婆か百智卿に操られているだけなのか……
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