火山館の依頼 一人目



古騎士、イシュトバーンを殺した。

何も悪くない、同胞である褪せ人を殺したのはこれが初めてだ。

彼は、私が狭間の地について最初のころに、私を助けてくれた騎士だった。

ボックが倒れていたあの洞窟。

亜人たちが潜む洞窟で、敵の親玉が二体いて、私が攻めあぐねていた時、一緒に戦ってくれた戦友だった。

彼が片方の敵を受け持ってくれたから、私は楽に敵を倒すことができた。


その彼を、殺した。



私は正しいのだろうか?

イジーとブライヴの仇を討つため、二本指と大いなる意志に対抗するための術を得るために火山館の仲間になった。

でも、実際にやっていることはただの同胞殺しだ。

私がイジーやブライヴを失った時と同じ気持ちを、他の人間にも味合わせているだけだ。


私は本当に正しいのだろうか?

分からない。

ただ分かっていることは、もう一人殺してしまった、ということだけ。

これではディアロスを何一つ責められない。

入館試験か……

たしかにこれは効率のいい試験だろう。

排律者とやらを見定めるための……


くそったれ

コメント

  1. 今回のような日記調の記事も縦横無尽かつ綿密な考察も、いつも楽しませて頂いてます。

    記事に関連してひとつ質問です。
    主人公(祝福を持つ褪せ人?)は何度でも復活しますが、今回のように相手の世界に侵入して狩られると、それきり消滅してしまうのでしょうか。
    他の褪せ人の世界に侵入する機序も含め、何が起きるのか気になります。

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    1. ありがとうございます。
      おそらく、彼らはもう祝福に導かれていないのだと思います。
      褪せ人は祝福により復活しましたが、逆に言うと祝福がなければ復活できないということです。
      主人公が何度も復活できるのは、それだけ強く祝福を受けている、ということなのだと思います。

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    2. ありがとうございます!
      祝福が重要ですね(死ねない呪いにも似たそれ……)。

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