考古学者ルーナの日常風景改め、考察:ファルム・アズラの神殿と、そこに刻まれた紋章と少女の謎について



ファルム・アズラ。

竜たちの神殿にして、滅びゆく残骸。

中心に座す竜王の断末魔のごとく、時間がゆったりと流れているここは、とても特異な場所だ。

私は今日、かつて黒き剣のマリケスがいた場所に来ていた。

おかしな、神殿だ。

壁に、獣たちが埋められている。

このファルム・アズラは獣人たちの国でもある。

故に、ここの壁に埋められている骸は、みなかつてこの国の国民だったものたちだ。


壁に埋められた遺体

これは、この国の文化なのだろうか。

よく見ると、遺体には豪奢な金の首飾りが飾られている。

神殿らしき建物に、埋められた豪華な装飾品を身につけた遺体……

これはおそらく、副葬だろう。

副葬とは、死者が生前愛用していた品物を遺骸に副えて、埋葬することだ。

狭間の地の外にも、同様の文化は各地に存在する。

特に有力者の墓、しかも神格化されている有力者の場合、この神殿のように、物だけではなく、人すら一緒に埋められることがある。

その有力者、――王や神と呼ばれる存在――、への手向けとして。

そして死後も有力者を守るための兵として。

あるいは有力者たちを慰める存在として。

生きている存在を、一人の死者のために消費するのだ。


この神殿に埋められている彼らも、おそらく同様の存在だろう。

何か、大いなる、敬われる存在を祭るために、こうして生きたまま埋められた。



まつられたもの

では何を祭っていた?

嵐の中心に座す竜王か?


いや、それはおかしい。

たしかに祈祷:プラキドサクスの滅びには以下のようにある。


竜王プラキドサクスの追憶から得られた力

己が姿を竜王となし、上空から金色のブレスを吐く

ジャンプ中に使うこともできる

それは、時の狭間に永遠に座した竜王の

滅びゆく断末魔であった


彼は滅びかける途上にあるのだ。

それを嘆いたファルム・アズラの民たちがこの神殿を作ったという話もなくはない。

しかし、この神殿にはその竜王を表すモチーフがおおよそ存在していない。

あるのは、この紋章と、祈る少女。

そしてその少女を囲む、3体の狼。

これだけだ。



この紋章には見覚えがある。

多少下に根のようなものが生えているが、間違いない。

エルデンリングだ。

ファルム・アズラにもまた、エルデンリングが、そしてそれを持つ大いなる意志の介入があったということなのだろう。

竜王の追憶には以下のような記憶が遺っている。


黄金樹に刻まれた

竜王プラキドサクスの追憶

指読みにより、主の力を得ることができる

また、使用により莫大なルーンを得ることもできる

時の狭間、嵐の中心に座す竜王は

黄金樹の前史、エルデの王であったという

だが神は去り、王は帰還を待ち続けていた


竜王は黄金樹の前史において、エルデの王だったのだ。

これは狭間の地の王、という程度の意味合いかなと思っていたのだが、この紋章を見るに、エルデの王とは、エルデンリングを手に入れた王、という意味なのだと思われる。



狼と少女

ではこの下の少女は何だろうか?

三体の狼に囲まれた、この少女は。


狼。

狼の戦鬼バルグラムの胴鎧には、以下の記憶が遺っている。


円卓を訪れた、最初の褪せ人たちの一人

狼の戦鬼バルグラムの胴鎧

古い伝承によれば、狼は神人の影であり

バルグラムもまた、そういうあり様を望んだ


狼は神人の影だ。

では神人の影とは何か?

それは影従だ。

黒き剣マリケスのように。

黄金樹に刻まれた

黒き剣のマリケスの追憶

指読みにより、主の力を得ることができる

また、使用により莫大なルーンを得ることもできる

マリケスは、神人に与えられる影従の獣であった

マリカは影従に、運命の死の封印たるを望み

後にそれを裏切ったのだ


あるいは忠義の騎士、ブライヴのように。

半狼のブライヴの胴鎧

使い込まれた、黒い騎士鎧

ブライヴは、ラニの影従であった

たとえ運命に背いてでも

決して裏切らぬ、味方であった


影獣とは、 神人に与えられる獣であり、それは狼の姿をしていた。


ならば、この狼もまた影獣なのだろう。

そしてそれを三体も与えられたこの少女も、おそらく神人。

しかも三体も与えられるような重要な神だったのだろう。

ではファルム・アズラに祭られている神とは何か?


そんなもの一つしかない。

かつて去った神。

この少女こそ、かつて去っていったファルム・アズラに座す竜王の対、大いなる意志に選ばれた神だったのだろう。

そしてこの神殿は、今はいない彼女を追悼するために建てられた主無き神殿。

彼女の帰りを待っていた竜王が、彼女を待つモニュメントとして建てた、それだけのもの。

多くの国民の命を犠牲にして建てた、意味なき道標。


それが、この神殿なのだ。


まとめ

まとめよう。

  • この神殿は壁に埋められている副葬の死者から、有力者を祭るための神殿だと思われる
  • 神殿にあるモチーフから、祭られているのは三体の狼に囲まれた少女
  • 狼とは神人に送られた獣、影従であり、それを送られた少女もまた、神人である
  • ファルム・アズラにいる神人とはかつて去り、今は竜王が待ち望み続けている神しか存在しない
  • 故に、この神殿はかつていたファルム・アズラに座した神を祭った神殿なのだと思われる


ファルム・アズラは、私が知る限りもっとも古い場所だ。
その場所にすら、大いなる意志の痕跡が残っている。
かの存在は、一体いつから狭間の地に干渉していたのだろうか?
それは黄金樹よりもとても古い時代からなのだろう。
私は、何に挑もうとしているのだろうか……


分からない。
ただわからないからこそ、調べなければいけない。
それに、狭間の地の謎がまた一つ埋まったこと。
今はそれを喜ぼう。


こうして私、考古学者ルーナの探索日誌は、綴られていくのだから。

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