考察:死に生きる者はどうして生まれたのか? 壊れた黄金律の被害者たち



 死に生きる者。

それは黄金律の理から外れ、死に生きる者たち。

ロジェールが、そしてフィアが救おうとしていた、死にきれず、生き続ける者たち。

彼らは何なのか?

なぜ死にきれないのか?

どうして生まれてきたのか?

本考察では、そのことについてまとめようと思う。


死に生きる者とは?

まず死に生きる者とは何か?

ロジェールは以前、死に生きる者について、このように語っていた。


…やはり、貴方には話しておくべきでしょう

死に生きる者たちをご存じですか?

黄金律の理から外れ、死に生きる者たち

Dなどに言わせれば、その存在すら許されぬ、穢れた者たち

…私が、呪痕を求めるのは、彼らを救いたいからなのです

おかしなことを、と思われるでしょう

けれど私は、陰謀の夜を調べる中で知ったのです

彼らは何も侵していない。ただ懸命に生き、それ故に、律の傷に触れてしまっただけなのだと


彼曰く、 死に生きる者とは黄金律の理から外れているらしい。

そして、律の傷に触れてしまったから生まれた存在だと。

このことから、死に生きる者が生まれた理由には、黄金律が不完全になってしまったことが原因であることがわかる。

ではその黄金律の傷とは何だろうか?


黄金律の傷

Dは以前このように語っていた。

貴公、見ぬ顔だな

俺はⅮ。死に生きる者を狩り、死の根を摘んでいる

…ひとつ、忠告しておこう

死に生きる者に、近付かぬことだ

特に「船」を見かけたときはな

…無駄に屍を晒す趣味もないだろう

 

…俺は、黄金律に仕えている

この壊れきった世界を修復するために

偉大なるエルデンリングだけを、導きとしているのだ

…そして死に生きる者たちは、黄金律の理を外れた存在

奴らが存在するだけで、導きは穢れ、その正しさは陰る

…だからこそ、まず根絶せねばならぬのだ。一匹残らずな…


 彼は黄金律の信奉者だった。

それ故に、黄金律を否定する存在であると彼が思う死に生きる者たちを狩り、死の根を摘んでいた。

思い返せば、死に生きる者たちがいる場所には、大体死の根が存在していた。

では死の根とは何か?

死の根には、以下のような記録が残っている。


死に生きる者たちを、生み出す源

東の果てにある獣の神殿では

獣の司祭が、これを集め喰らっている

陰謀の夜、盗まれた死のルーンは

デミゴッド最初の死となった後

地下の大樹根を通じて、狭間の各地に現れ

死の根として芽吹いたのだ


死の根とは、死に生きる者たちを、生み出す源だ。

そしてこの死の根は陰謀の夜、盗まれた死のルーンが地下の大樹根を通じて、狭間の各地に現れ芽吹いたものらしい。

つまり、ロジェールの言う黄金律の傷とは、この死の根だ。

ではなぜ、死の根に触れることで死に生きる者となってしまう?

そしてなぜ、陰謀の夜に起きたデミゴッドの殺害と死のルーンによって、黄金律に傷がついた?

そのことを考えるには、黄金律について考える必要がある。


黄金律と陰謀の夜

私は以前、【考察:黄金律とは何か? 運命の死を取り除くことで完成した祝福の循環システム】の稿で、以下のように語った。


運命の死は狭間の地から取り除かれ、黄金律は、運命の死を取り除くことで始まった。

これこそが黄金律。

黄金律とは、輪廻転生を通さないことによる、黄金樹からの祝福を黄金樹を通して循環させる永久機関のシステムである。

黄金律は死に生きる者を許さない。なぜなら死者の持つ祝福もまた、黄金樹のものだからだ。

そして黄金樹とは、死者からエネルギーを吸収し、そのエネルギーを祝福という形で変換し狭間の地に分け与え、そしてその祝福をまた死者から吸収するという媒介であり変換器であり吸収装置、黄金律の根幹を維持する装置である。

こうして、黄金樹を中心とした祝福の循環システムは永遠となり、黄金律ははじまった。


黄金律とは、運命の死を取り除くことで始まった、祝福の循環システムだ。

その黄金律を傷つけるにはどうすればいいか?

簡単だ。

運命の死を取り除くことで黄金律が始まったのならば、再び運命の死を取り戻すことで黄金律は終わりを迎える。

陰謀の夜、死のルーンが盗まれることで、黄金律は壊れたのだろう。

だが、それは中途半端だった。

陰謀の夜に盗まれた死のルーンは一部にすぎなかったからだ。

だから陰謀の夜の後も、輪廻転生は戻らず、霊界への路も開かず、黄金律は中途半端に壊れた。

いっそ完全に壊されたのなら、黄金律以前の正常な世界に戻ったのだろうに。

こうして黄金律は壊れ、その傷は死の根という形で、大樹根を伝い各地に現れることになった。


霊界と死に生きる者たち

これでなぜ死の根が黄金律の傷であるのかがわかった。

だが、なぜ死の根に触れることで死に生きる者になるのかについては、まだ分かっていない。

なぜ死の根に触れることで、死に生きる者になるのだろうか?

その答えの鍵は、おそらく霊界にある。


霊界とは何か?

霊界とは、死の循環システムだ。

死者が火に焼かれることで浄化され、霊界を通って再び再誕する、輪廻転生の理。

おそらく、死の根は狭間の地と霊界の境界にできた亀裂、傷なのだ。

だから死の根があるところに、ティビアの呼び舟のような存在がいる。

霊界の穴を通じて呼び舟たちは現れ、しかし死に生きる者たちが霊界に向かえるほど大きくはない。

だから、黄金律によって死を奪われ、しかし死の根に触れ霊界の律により死を与えられ、しかし霊界に行けるほど亀裂も大きくない。

黄金律と霊界の律が中途半端に重なってしまっている状態。

それこそが死に生きる者の正体なのではないかと思う。



まとめ

  • 死に生きる者は死の根によって生まれた
  • 死の根とは黄金律の傷である
  • 黄金律とは狭間の地から死を奪うことで完成した、黄金樹を中心とした祝福の循環システム
  • しかし黄金律はエルデンリングが壊れたことで、中途半端に壊れた
  • その結果霊界に行けず、されど黄金律によって生き続けることもできない中途半端な存在、死に生きる者が生まれた
  • 死に生きる者とは、死の根に触れることで、黄金律と霊界の律が中途半端に重なってしまった存在なのだ


ロジェールは死に生きる者を救おうと願い、生きてきた。
そのために死に生きる者が生まれた根本の原因を探ろうとして、陰謀の夜について調べていた。
親友とそれによって別れ、自分の命を賭してでも。
ではフィアは?
死衾の乙女、死王子の復活を願った彼女は、どうやって死に生きる者たちが永遠に生きられる世界を創ろうとしたのか?
この考察によって、ようやくこの謎に迫れるように思っている。



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